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安倍首相のための憲法改正(創発を生むミーム 2017/11/01号)
 創発を生むミーム 2017/11/01号の「安倍首相のための憲法改正」の全文記事です。
 
2017/11/01号
安倍首相のための憲法改正

 安倍首相率いる自民党が憲法9条の改正を総選挙の公約にしました。憲法改正の条文は選挙の後に発表するとのことですが、以前から発表されている草案が土台になるでしょう。これから起こる憲法改正論議のために、取り上げました。一言で表現すれば安倍首相のための憲法改正です。何が問題なのでしょうか。

 今年6月に憲法9条に自衛隊を明記する安倍首相の提案を受けて自民党憲法改正推進本部が出した叩き台は次のものです


9条の2 前条の規定は、我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織として自衛隊を設けることを妨げると解釈してはならない
2 内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有し、自衛隊は、その行動について国会の承認その他の民主的統制に服する


 自民党の保岡興治・党憲法改正推進本部長は現在の憲法解釈を1ミリも動かさないと発言しています。それならば、変えなければいけないのは9条ではなく幸福追求権を定めた13条です。自衛隊を合憲と解釈する従来の憲法解釈の源は13条にあるからです。つまり、国民の幸福追求のために政府は国民を守らなければならず、そのために自衛隊が必要だという解釈です。

 自民党の憲法改正案には「必要最小限度の実力」という文言があるのだから、たいした違いではないという意見もあるかもしれません。しかし、「防衛のため」という文言が問題となります。集団的自衛権の根拠となるからです。

 安倍政権以前の憲法解釈では日本は個別自衛権しか持っておらず、集団的自衛権は持っていないというものでした。憲法のどこにも書いていないからです。

 しかし、安部政権は「国民を守るため」なら集団的自衛権が認められると憲法解釈を変更しました。この解釈変更について、多くの憲法学者が違憲であると表明しました。

 ところが、自民党の憲法改正案では、自衛隊の存在が合憲とされた上で、防衛のために使ってよいとされました。それならば、安倍首相の解釈改憲も、合憲とされるでしょう。

 このように、自民党の憲法改正案は、安倍政権下での解釈改憲や安保法制を追認するものであり、安倍首相のための憲法改正だと位置付けられでしょう。

 ただ、安倍首相は現在の条文でも集団的自衛権を持つという解釈なので、今後の改憲議論で「防衛」という文句が削られても、政府は集団的自衛権を持つと主張を続けるでしょう。

 現行の憲法のまま政府が集団的自衛権を行使して自衛隊を戦地に送っても、最高裁判所で違憲と判断が下る公算が高いでしょう。大勢の憲法学者が違憲と考えていることだからです(ただし、日本では学説は法源になりません。法源とは裁判官が判決を下す根拠となる法のこと)。

 しかし、改憲をして憲法で集団的自衛権を認めてしまえば、将来、最高裁が違憲と判断を下すことがなくなります。

 そして、その先には、アメリカに軍事貢献するために、自衛隊を使う国に日本がなるということです。しかも、その軍事貢献は首相の意向次第で出来てしまうのです。

 憲法9条一項や二項では、交戦権や戦力の保持を禁じているので、そんなことにはならないと思われるかもしれません。しかし、法律解釈には後方優位の原則があります。矛盾する条文を解釈するさい、後から付け足されたものを優先させるという考えです。後の方が、より立法者の趣旨にかなうという考えです。だから、三項を付け足せば、それにかなうように、一項や二項も再解釈されます。

 安倍首相は集団的自衛権を行使して外国を守るために日本から戦争を始めるのは、日本を危機から守る場合に限るとしています。しかし、その危機の判断は首相がすることで、憲法に制約されません。

 ただ、「日本人を分断した教育勅語」でも触れたように「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」とある憲法前文は、防衛のためでも、日本政府の意志で戦争を起こすことを禁じています。

 しかし、集団的自衛権を行使して自衛隊の武力を使うとは、日本政府が宣戦布告して戦争を始めることです。安倍首相は抑止力だ、これが国を守ることだと主張しますが、日本が戦争に向かうことなのです。

 そのため、集団的自衛権の行使は前文に反します(個別自衛権は敵国の攻撃があって発動されるものなので、政府の意志ではありません)。しかし、学説では前文違反を理由に裁判に訴えられません。個別の条文で対応できるからです。だから、集団的自衛権が違憲だと思うなら、安倍改憲に反対しないといけません。また、憲法9条を変えるなら、集団的自衛権を禁じれば、政府に戦争を再び起こさせない憲法前文の精神にかなうでしょう。
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