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オバマ広島訪問の政治的資産の活用(創発を生むミーム 2016/08/01号)
 創発を生むミーム 2016/08/01号の「オバマ広島訪問の政治的資産の活用」の全文記事です。
 
2016/??/01号
オバマ広島訪問の政治的資産の活用

 オバマ大統領が被爆地の広島を訪問しました。原爆で亡くなった方たちを追悼するためです。被爆者を抱擁したり、核兵器のない世界を訴えたり、記憶に残るようなものでした。この訪問について、謝罪がなかったり、長崎は訪れないのかという批判もないわけではありませんでした。しかし、核兵器の廃絶という点で見れば、進展はなかったでしょう。

 それよりも、オバマ広島訪問の見逃せない点は、日米の友好関係の深化です。日米安保条約が結ばれた時は「お見合い結婚のよう」と言われた日米関係がここまで来たのです。2004年にシュレーダー首相がノルマンディー上陸作戦記念式典でシラク仏大統領と抱擁を交わし、フランスの新聞は「今日が本当の終戦の日」と書いたことがあります。オバマ大統領と被爆者の抱擁は、それに匹敵するでしょう。

 外交は相互的に進められます。オバマ大統領が広島訪問という譲歩(日本に花を持たせたわけです)をしたのなら、日本もそれ相応の譲歩があっても良いでしょう。そのお返しは首相のハワイの真珠湾訪問でしょう。

 ところで、オバマ大統領の広島訪問は、日本とアメリカが同盟国だったから実現したことでしょう。それならば、他の国と同じことができないでしょうか。例えば、中国です。中国も核保有国です。中国の首脳の広島訪問も意義のあることです。それならば、日本側は何をすれば、中国と対等と言えるでしょうか。それは、南京大虐殺記念館の訪問でしょう。南京大虐殺記念館と聞くと「反日施設でしょう」と返事が返ってきそうです。しかし、南京大虐殺記念館は、熊本大地震のさい「熊本県日中友好協会の関係者が20年以上、毎年欠かさず同記念館を訪れ、犠牲者を追悼してくれている。熊本の皆さんのことを心配している」というコメントを出しました。南京大虐殺記念館は中国の愛国教育の拠点とされていますが、一概に反日と決めつけられるものではありません。

 もちろん、これは政冷経熱(政治的には対立していても経済交流を深めること)の下、民間外交の成果でしょう。中国では、親日派と見られることは、政治的な自殺とされる、それどころか、日本に興味を示すだけで売国奴とバッシングを受ける空気があると聞きます。だから、日本の首脳の南京大虐殺記念館訪問だって、政治的に利用されるかもしれません。しかし、相互的なものであれば、その懸念も少なくなるでしょう。

 もちろん、日本人と中国人はお互いに嫌いあっているのだから簡単なものではないでしょう。日本のNPO法人「言論NPO」と中国の英字紙・チャイナデーリーが共同で行った2014年の世論調査によると、中国に良くない印象を持っている日本人の割合が93%、日本に良くない印象を持っている中国人の割合は86.8%です。だから、日本の努力だけでは成立しないでしょうが、日中関係が好転すれば、安全保障にも寄与するでしょう。

 さて、アメリカ大統領や中国の首脳の広島訪問から視野を広げると、また別のものが見えてきます。核クラブの五大国(核不拡散条約で核の保有を認められた国々のこと)の首脳の広島訪問です。つまり、ロシア・フランス・イギリスの大統領や首相の広島訪問です。もちろん、核兵器の保有は国際社会において大きなパワーであり、核クラブ諸国の首脳の広島訪問をしたからといって、それが核兵器の全廃に結びつくものではないでしょう。しかし、核兵器が廃絶されるなら、核五大国の首脳の広島訪問はどこかで通り過ぎる里程標になるでしょう。

 オバマ広島訪問の政治資産をどう活用するのかという議論はあるでしょう(もちろん、オバマ大統領や被爆者を政治利用することへの遠慮もあるでしょう)。それなら、核廃絶の進展のために利用するのが筋でしょう。被害者と加害者が手を携えて相互理解を進めてこそ、未来志向の政策が実現するのではないでしょうか。また、そう考えると、オバマ大統領の広島訪問も、核クラブの国々の首脳の広島訪問の第一歩と位置付けられるでしょう。
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