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マーケティングがどうしてイノベーションを殺すのか
 マーケティングはどうしてイノベーションを殺すのでしょうか。マーケティング担当者はイノベーターに背を向け、大衆を向いて仕事をします。大衆が求めているものを提供するわけです。ところで、イノベーションは今までにないものです。ハイブリッドカーやスマートグリッドや、カラオケで歌ってネット配信するといったこと(最近、動画共有サイトでもカラオケ歌唱の動画が出現しました)は、報道でもないかぎり、大衆は知りません。知らないものを大衆は選べません。当然、マーケティング担当者は大衆が消費している既製品をターゲットにします。既製品の焼き直しです。大衆は、マーケティング担当者とメディアがおぜん立てした選択肢から選ぶのですから、既製品の焼き直しから選択することになります。
 

イノベーション

 韓流ブームのねつ造に限らず、メディアがブームを煽るのは昔から知られたことです。例を挙げたら、トレンディドラマがそうです。上流階級に憧れる中流階級のヒロインをテレビドラマで描けば、それだけでプチセレブな消費生活への憧れが視聴者に芽生えます。おまけに、男性向けには、女性にもてたければ、デート前に美容室で髪をカットして、高級レストランで値段のはるワインを注文するのがデートの成功術だとマニュアルまで用意されていました。恋愛資本主義という批判もありました。

 しかし、作られたブームの功罪は、メディアにだけあるのでしょうか。勝ち馬に乗る心理や風見鶏という言葉があります。こんなことを書くと、マジョリティに属する大多数の読者は怒ったりするのでしょうか。メディアがブームをはやらせるのなら、時流に合わせようと考えるひとが大多数ではないでしょうか。まず、ひとと違うことをするのは疲れます。むしろ、周りに合わせた方が安心できます。最新の時流に合わせているという満足感も生まれます。こういうメディアと大衆の関係が分かっていれば、メディアが作ろうとするブームに進んで勝ち馬に乗ろうとする風見鶏が現れるのは自然な人間心理です。すべて、上の図のマジョリティの範囲のことです。本当に流行感度の高い人は、むしろ、大衆に広まり始めると、次の流行を探すものだからです。

 ところが困ったことに、ブームを広めようとするメディアや広告代理店のスポンサーとなる企業には、イノベーションの意欲が乏しいものです。まず、イノベーションへの投資はコストカットの対象になっています。デフレだからです。また、それ以前に、日本企業の弱点は、既製品の焼き直しの延長にある「良いものを作れば売れる」という考えに凝り固まっていることです。例えば、テレビの良いものも「より薄く、大きく」です。あとどれぐらい薄くして、大きくすれば、消費者はテレビ離れを起こすのでしょうか。

 メディア・広告代理店・消費者・スポンサー企業だけでなく、マーケティング担当者そのものはどうでしょうか。つい最近まで、売れ線に合わせて品ぞろえをしたら、同じ商品が巷に広まり値崩れして、売れ線なのに売れなくなるというのがマーケティング担当者の嘆きの声でした。みんなで同じ商品を供給したら、需要と供給の曲線にそって、価格の低下を招くことは自明です。「成熟した市場」は平凡なマーケティング担当者の言い訳という言い回しもあるそうですね。

 さて、ここまでの説明は、マーケティングは不作為によってイノベーションを殺すという説明です。それでは、マーケティングが積極的にイノベーションを殺すことは考えられないのでしょうか。広告代理店のお気に召さないイノベーションは殺されたりはしないのでしょうか。あっても不思議ではないと思います。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌といったマスメディアは、ネットと比べてせまいパイしかありません。誰でも利用できるネットと違って、一握りの人間しか利用できないマスコミュニケーション手段だからです。それならメディアの力が強いと思われるかもしれません。しかし、日本の広告代理店はそんな少ない広告枠を買い切っているため、メディアの人間も広告代理店の顔色をうかがいます。おまけに広告収入の減少を補うため、テレビ局まで副業に励んでいます。不動産業ならともかく、物販なんて、ブームに便乗して収入を増やすようなものです。広告代理店の協力がなければ、うまくいかないでしょう。

 さて、たいがいの企業はイノベーションによって競争が激化することを嫌います。東京電力がそうです。スマートグリッドが普及すれば、再生可能エネルギーによる発電比率を20%程度に押しとどめる理由を失います。そうすると、多くの企業が一般家庭向けに太陽光発電のセールスを行っていることからわかるように、東京電力は力を失います。これまで一握りの人間しか利用できなかった発電手段を誰でも利用できるようになるからです。

 電事連加盟10社のマスコミ広告費など普及開発関係費は866億円(2010年)です。同じ年の広告費1位はパナソニックで733億円ですから、大変な額です。さらにいくつものメディアに分散されています。だから、イノベーションを殺すという一点にしぼれば、メディアの担当者が広告代理店の顔色をうかがっていたら、空気を読んでいるかのように自然と起こることなのだと思います。スマートグリッドが凡庸なマーケティング用語にされたり、再生可能エネルギーが絵空事のようにメディアで語られるのも、メディアと広告代理店の癒着のせいだと思っています。それも、みなが空気を読んだ結果であって、誰かが統制しているようなものではないのでしょう。
author:taiga, category:-, 04:55
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Comment
太陽光発電をした電力を電力会社の電気料金よりも高い価格で電力会社に売電することができる。
その差額は電力会社が電気料金に上乗せする。
従って、太陽光発電をしていない人々が負担しなければならない。
その結果、普及すればするほど、貧しい人々はますます貧しくなる。
その上、国や自治体が税金を使って太陽光発電設備の設置に補助金を出している。
太陽光発電をしない人々はその税負担もしなければならない。
このような、貧乏人にしわ寄せがいくような制度は廃止してもらいたい。
どじょう, 2012/07/27 9:18 AM









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