民主党マニフェストは自民党マニフェストより机上のレベルで上回っている。
実現の鍵は、運試しの財源と党執行部の政治力だ。
実現可能性なら民主に軍配
民主党マニフェストは、たいがい財源レベルまで練られています。キャッチフレーズしかなかった自民党マニフェストとは大違いです。外交や安全保障がキャッチフレーズのレベルなのは大同小異です。
実現可能性では、民主党に軍配があがります。
物差しのない無駄はぶきは奇術のタネ
無駄かどうかを判断する物差しを、民主党は定めていません。だから、お手盛りで削減できるのです。
どういうことなのか説明します。
民主党マニフェストに記載されている実施手順では、財源確保のために無駄をはぶくことになっています。
民主党が無駄をはぶいて財源を確保できると自信を持っているのは、おそらく
この前例があるからでしょう。実際に無駄をはぶいてどうなるかは、運試しです。
思ったほど無駄がなければ・・民主党は本来必要な予算を削りだすでしょう。
来年の参議院選挙に向け実績を作るために、民主党は予算カットで財源を工面するでしょう。それを非難されれば、「優先順位を決めるのが政治」(マニフェストに書いてあります)とうそぶくことでしょう。
ぶれるかどうかは、執行部の政治力次第
民主党のマニフェストは選挙前からぶれ、玉虫色の文言に変えられたものがあります。民主党は複数の政策グループがあり、また連立政権を組むと思われるので、マニフェストを実施できるのか不安視されます。
実現できるかどうかは党執行部の政治力しだいです。
(自民党のマニフェストは選挙期間中にぶれようにも中身がないんですが・・)
泥臭いと見なされる党内調整や他党との政策協議を成功させなければ、マニフェストに書かれた政策は実行できないのです。鳩山執行部は対立候補だった岡田氏も取り込んだ集団指導体制を確立しています。党内調整は磐石かもしれませんが、参議院で過半数を確保するのに必要なキャスティング・ボートを持つ他党とのハードな交渉は未知数であり、すでにぶれています。(連立政権でマニフェストが当てにならないのは、欧州各国の連立政権では常識です)
マニフェストの内容は、達成しうる最高の理想状態
以上見てきたように、民主党の政策は、マニフェストを最高の理想状態として、実務レベルで変質していくでしょう。その際、内容を堅持できるのかは、ビジョンを明確に描けているかどうかです。
「税金のムダを減らす」はしっかり作りこまれているので、成功するでしょう。しかし、「友愛社会」は具体策に乏しいので、連立政権内の取引材料に使われ、おそらく人気取りのばらまきになるのではないでしょうか。