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東京電力国有化
 東京電力の国有化は、市場の要請です。なぜなら、毎年2000億円強の社債の借り換えができない東京電力の破たんは必然でありながら、巨額にのぼる原子力事故の賠償や事故の処理費用を抱える東京電力を救済合併できる企業はどこにもないからです。

 東京電力は毎年、社債の借り換えを実施してきました。けれども、原子力事故の発生した昨年は、社債の借り換えを実施できませんでした。CDSの異常な上昇が物語るように、市場は東京電力の破たんは必至だと見なしているからです。

  東京電力を破たんさせ国有化させることは、原子力事故の収束のために必須のことです。なぜなら、東京電力を債務超過に陥らせたくない経営陣は、事故の処理費用を切り詰めることは必然だからです。東京電力のおかれた状況を、財務面から見てみましょう。社債の借り換えはできません。このままでは資金ショートです。資産の売却には限りがあります。それでは粉飾決算をすることなく、株主総会に臨む東京電力経営陣が帳簿をきれいにできる手段はなにが残されているでしょう。電気料金の値上げと事故の処理費用の切り詰めです。

 電気料金は総括原価方式によって決まります。東京電力は事故現場の作業員の軽食の支給を打ち切りながら、社員のボーナスは支給しました。この違いは総括原価に算入できるかどうかではないかと考えています。社員のボーナスなら総括原価に算入でき、電気料金の単価を維持できます。作業員への軽食は総括原価に算入できないのでしょう。なぜ総括原価に拘るかというと、総括原価が増えれば、それだけ東京電力の利益を増やすことが、認められているからです。一方、総括原価に算入できない軽食の支給は、利益を食います。東京電力を債務超過させたくない経営陣は、帳簿上、総括原価に算入できる経費は増やして、それができない経費は切り詰めていると想像されます。

 軽食にかかる費用ならまだしも、東京電力は事故の処理にかかる費用や作業員の安全費用を削減していると考えられます。

 原子力事故以来、福島第一原子力発電所に詰める作業員のものと噂されている未確認のツイッターによると、昨年、東京電力は下請けとの関係をこじらせたとされます。2012年からの作業スケジュールが年末になっても組まれなかったのです。東京電力が事故現場の処理作業をどうしたかったのかは、今年にはいってツイートされました。これまでは下請けに発注していた作業を、機材とマニュアルを用意させ、東京電力の社員がみずから作業にあたることでした。昨年さんざん報道されたように、東京電力の社員は、一般の電気工事でも現場監督として立ち会い、電柱に登る作業は下請けの作業員にまかせいました。これまで現場監督だったものが、即席で作業にあたっているのが、現在の福島第一原子力発電所の事故処理現場なのです。その結果おこった作業中の事故が、今年三月二十六日、冷却水を通す配管のつなぎめから、放射能汚染水の流出事故です。東京電力の発表によれば、海に流出した放射性セシウムはおよそ112億ベクレル、配管から漏れた放射性セシウムの総量は1兆6800億ベクレルに達します。

参照リンク
http://twitter.com/#!/Happy11311
 
執筆中追記(3月29日16時57分)

 執筆中にこのツイッターを閲覧したら、「作業量がない」「送別会や解散会がいっぱい」とツイートされているのが目に留まりました。東京電力の原子力事故現場における下請け切りが始まりました。

 東京電力はこれまで、冷却水を通すホースの破損の理由を雑草で穴が開いたからと発表するように、不誠実な対応をしてきました。庭に水を撒くホースでも、雑草で穴が開いたりしません。東京電力が作業現場をコントロールする力を失っていると見なさなければなりません。福島第一原子力発電所二号機格納容器内の水位がこれまでの発表の数分の一の60センチしかなかったことを東京電力は認めました。事故処理に当たっては、溶けた核燃料が格納容器内にとどまっていないと、最悪の事態を想定しなければなりません。東京電力は温度計の目盛りから核燃料の冷却ができていると主張していますが、そもそも、核燃料が容器にとどまってることを確認する手段が存在しないことを東京電力は認めています。冷温停止宣言はひとを馬鹿にした話です。

参照リンク
http://www.youtube.com/watch?v=ji1Q9ExYOl4&feature=related


http://www.youtube.com/watch?v=ji1Q9ExYOl4&feature=related

 

また、東京電力が作業員の安全にかけるコストを切り詰めている例をあげることができます。作業員に対して、宿舎になるJビレッジから作業現場の福島第一原子力発電所の行き帰りに、放射能防護服の非着用を要請いるからです。

参照リンク
http://www.youtube.com/watch?v=B9DXhuVrmrI


 以上のことから、東京電力が債務破たんに陥らないように税金を投入されても、東京電力の経営陣は、市場のルールによる経営責任の追及から免れるため、事故処理費用のコストカットによって、福島第一原子力発電所の原子力事故現場そのものを危険にさらしていると考えらます。このままでは天災でなく、人災が起こります。まだ、核燃料プールの燃料棒が手つかずで残れています。爆発事故で大きく損壊した四号機の核燃料プールは、損壊の危険性を帯びています。もう一度、大きな地震がくれば四号機原子炉建屋が損壊する可能性があります。東京電力は、その可能性を否定していませんが、対策も梁を通しただけです。

参照リンク
http://youtu.be/uOgoZDDsRkc?t=11m45s

  
 東京電力の経営陣に、事故を処理する経営責任を担う能力が欠如していることを認めるひとでも、国有化が市場の要請という意見に同意できないかもしれません。けれども、東京電力を債務破たんさせることが市場のルールによるように、破たん後の東京電力を国有化させることも市場のルールなのです。東京電力の株式や社債は一般の株式市場や債券市場において発行されています。それなら、破たんさせるのが市場のルールです。一方、東京電力の送発電事業は、法によって認められた公的独占事業です。東京電力が関東地方の送発電事業から撤退しても、その穴を埋められる会社は市場のどこにも存在しません。これまで、国が東京電力に公的独占を認めてきたのですから、国が責任を負わなければなりません。関東地方のPPS(特定規模電気事業者)には、東京電力の代わりになる力がないからです。

  また、原子力事故の被害者のためにと、税金や電気料金から東京電力の費用を用立てる国民にとっても、東京電力の破たん処理は関心事です。まず、東京電力が社債の借り換えをできない以上、国民が東京電力にお金を用立てることは、実は、東京電力に代わって、債権者に返済していることになるのです。こんなことに国民は同意していません。また、東京電力は首都圏の電力の安定供給に責任をもっています。昨年にも、電力不足の不安から、首都圏から国外に会社が移転する懸念が、何度も報道されました。東京電力を破たんさせても、首都圏の電力の安定供給が保障されなければいけません。そのためには、東京電力の国有化が求められます。
author:taiga, category:原子力事故, 07:37
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